【国語だけではない】常識を「浅く広く」身に付けないと

これは忘れもしない、西暦2000年のこと。

「オーストラリアの首都、分かるかな?」

こんな問題を、とある男子生徒に授業で聞いてみました。





当時の私は、とある塾に勤めていた頃。

担当していたのは、あまり賢くない子が多いクラス。

授業は講義形式で、質問も「はい、君!」みたいに当てて聞いていました。

その時も、「はい、オーストラリアの首都、○○くん、分かるかな?」という感じで聞きました。

もちろん、ヒントも忘れず伝えました。





「あー、でもね、今オリンピックしている所ではないよー」





そう、西暦2000年はシドニーオリンピックの年。

オーストラリアの首都をシドニーと答える生徒が非常に多い。

なので、このヒントで一つ牽制をしました。





・・・・・・しかし、その男の子はきょとんとしています。

え、あれ、今世界中で盛り上がっているオリンピックですよ?

連日ニュースでも取り上げられているオリンピック。

もしや・・・・・





「えーと、○○くん、オリンピック、見てる?」

「あー、うー、きょ、興味ないので見てません。」

クラスのあちこちからクスクスと笑い声が聞こえてきました。

やばい、何とかこの子をフォローせねば。





「で、でもさぁ、ニュースとかで見たことない?金メダルとか特集されてさ。」

「にゅ、ニュース、見ないです。」

「あ、そ、そう・・・」





この子にはオリンピックのヒントは不向きと判断。

これ以上突っ込むとこの子に恥をかかせてしまうので、別のヒントにしました。

「英語で○○できる、と、ちりんちりん!とかどう?」

キャンベルを答えさせるのに大変苦労したことを今も覚えています。





オリンピックの年の入試は、運動系の問題が出やすいです。

東京オリンピックの年の金大附属高校の社会問題は、オリンピック関連が出ました。

別の年には、バレーボールの動きと理科の力学的エネルギー保存の法則を結び付けた問題も。

人工衛星「はやぶさ」の時も、はやぶさ関連、出ましたね。

時事問題、多数とは言いませんが、ちょいちょいと出ています。





作問者はこう思っているのです。





「今年はオリンピックの年だから、開催都市とか金メダルで話題になった選手とか大体わかるよね?」と。

「わかるよね?」と思いながら作問者は問題を作っています。

つまり、それを「わからない」と解けない、というか、問題文が受験生に通じないのです。

「何を言っているのか分からない」と受験生は大混乱するのです。





今年なら、野球WBCとかサッカーワールドカップでしょうか。

特に野球でしょうかね。





「大谷選手が思いっきりボールを投げる。剛速球、165キロ!投じたボールはズドンとど真ん中に突き刺さる。『ストライク!』そう判定が出る前に、観客のみんなが声を張り上げて叫んでいた。」





野球を知らない子がこれを読むと、ボーリングと勘違いするのです。

大谷という名前のボーリング選手が165キロのボールを投げる。

剛速球が10本並ぶピンのど真ん中に突き刺さり、ストライクをゲットした。

きっとそう思うに違いありません。





「甲子園。大空に舞い上がる白球を夢中で追いかける。」





甲子園で開催されているドッグランにおいて、飼い主が投げた白い球を夢中で追いかけている犬のお話ではありません、多分。

ちなみにドッグランは和製英語であり、英語ではdog parkと言うらしいです。





「滑り込む!タッチ・・・アウト!!」

決して鬼ごっこや缶蹴りの話ではないのです。

「僕らは甲子園を目指した。」

旅日記ではありません。

「一番最初にゴールテープを切った。」

ハサミでチョキン・・・ん?

野球や陸上競技の物語文でよく使われる表現かと思いますが、作問者の「わかるよね」が通じなかった結果、このような誤解が生まれるのです。





なので、深くは知らなくてもいいのです。

ちょっとは知っておいてほしいのです。

せめてニュースで放送されているくらいの話題にはついていってほしいのです。

「でもそれって、あなたの感想ですよね」

と、ひろ〇きみたいなことを言わず、ニュースレベルの知識は持ったうえで入試などに挑んでほしいと思います。





ニュースのみならず、興味のないジャンルでも、浅くていいので一通りの知識を。

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