【児玉】絶滅危惧種

こんにちは、児玉です。

先日質問を受けた三角方程式(三角関数を含む方程式)は、解の個数を問うものでした。

ここでは、その問題の解法についてあれこれ書くのではなく、この時、ふと「こういう解の個数はどのような単位を付ければ良いのだろうか」という疑問が沸き起こったので、そのくだりに関連してそこはかとなく綴ります。

2つ,2個,2解,2根,2

一般的には「2つ」か「2個」ですかね。
「2解」というのもありそうですね。
さすがに「2根」といのは古臭いでしょうか。
「2」というのもありだとは思いますが、なんとなくしっくりきませんので、やはり単位があった方が良さそうな気がします。

日本語では、物の数量を表すときに付ける「助数詞」が、物の種類別に決まっています。

鮨は1貫(いっかん)、椅子は1脚(いっきゃく)。
それぞれ、1つと表しても、更には強引に1個と呼んでも通じるかもしれませんが、みなさん、どう思われますか?

割りとよく使われているけれども、実は正しくない(風情が無い)という例をいくつか並べてみます。

割り箸 1本 → 1膳(いちぜん)
イカ  1匹 → 1杯(いっぱい)
ハサミ 1個 → 1丁(挺)(いっちょう)
コート 1枚 → 1着(いっちゃく)
写真  1枚 → 1葉(いちよう)
日本酒 1杯 → 1献(いっこん)
羊羹  1本 → 1棹(ひとさお)

箪笥(タンス)も棹を使いますよね。

たらこ 1本 → 1腹(ひとはら)

「たらこ」は、個人的には「もみじこ」と呼んでもらいたいですが…。

ざるそば 1個あるいはひとつ → 1枚
コーヒーカップ 1セット → 1客(いっきゃく)

そうそう、カニもイカと同じ「杯」を使いますね。

日本語以外で、これだけ1つの物の数え方がたくさんある言語は珍しいのではないでしょうか。

大谷翔平選手がホームランを打つ度に被っている「兜(かぶと)」の個数の単位は「翅(はね)」というのを使うのだそうです。

助数詞を、数える対象別に列挙してみます。
同じ字でも対象によって読みが違うので、何に使うのか、どう読むのかも添えたいところですが、あまりに長くなるので、その字面だけを記します。

・物事、出来事
つ,箇,個,果,菓,本,枚,点,件,組,回,度,遍,号,位,着,局

・衣類・寝具
枚,着,揃,本,掛,足,組,重,襲,具,領,翅,蓋,頭,基

・食べ物、飲み物
杯,膳,皿,丁,枚,切,棹,食,献,服,錠,貫,腹

・住居、構築物
軒,戸,棟,堂,宇,基,面,階,室,間,畳

・乗り物
台,両,隻,艘,艇,杯,機,挺,基

・書物、作品、文書
冊,巻,部,通,葉,幅,軸,篇,首,句,字,画,行,枚,帖,束,締,折

・動物
匹,頭,羽,尾,喉,杯

・人間、神仏
人,名,氏,方,体,躯,頭,座,位,柱

・植物
本,鉢,株

・道具、容器、日用品
台,脚,卓,棹,面,合,双,枚,客,組,膳,挺,口,振,張,管,本,瓶,缶,袋,折,山,重,束,把,梱,荷

たぶん、まだまだあるでしょう。

上にも書きましたが、現代ではどんなものも「1個」や「1つ」で済ませてしまう人も少なくないようです。
まさに、助数詞は絶滅寸前の絶滅危惧種であります。

しかしながら、こういう時代だからこそ、日本の良き文化である「助数詞」を適切に使いこなしたいものですね。

それでは、また。

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