【石川県公立高校入試分析】数学入試分析

泉丘高校・二水高校受験

令和5年度石川県公立高校入試問題 数学

★問題の概要

【大問1】小問集合

(1)式の計算が5問
(2)反比例とグラフ
(3)根号と自然数
(4)不等式を作る
(5)箱ひげ図

【大問2】確率の問題
・ 数字を書いた色玉を取り出す
(1)玉に書かれた数字の和より、確率を求める問題
(2)取り出した玉の色と数字により、平面座標上の点を対応させる問題

【大問3】2次関数
・長方形の周の長さと面積
(1)1次方程式
(2)2次関数と変化の割合
(3)1次関数と2次関数

【大問4】連立二元一次方程式の応用

【大問5】作図問題
・角の二等分線の応用・等しい角を作る

【大問6】立体図形(正六角柱)
(1)正六角柱の性質
(2)対角線の長さの計算(三平方の定理の応用)
(3)立体の切断と体積

【大問7】相似・円周角とその応用
(1)円周角、円の性質を利用して角度を求める問題
(2)円周角の定理、同じ長さの弧に対する円周角などを利用して三角形の合同証明
(3)相似の応用(線分の長さ)

★問題ピックアップ

大問1(1)~(4)は、慎重に計算したり考える必要はあるものの、頻出問題のため、特に難易度は高くない。
(5)の箱ひげ図の問題は、最小値・最大値・中央値・平均値・四分位数と箱ひげ図との関係を正しく理解していれば易しい問題であるが、これらを曖昧に記憶していた場合、間違い易い。おそらく、大問1の中で最も正解率が低いのではないだろうか。

大問2の(1)は、すべての場合の数が高々10通りであるから、慎重に数え上げれば良いだけ。
(2)も、三角形の成立条件と1回目と2回目に取り出した玉の色についての関係に気付けば、(1)での考察からほぼ瞬時に解ける。
しかし、(1)が「玉を同時に取り出す」、(2)が「もとにもどさず」と操作方法を変えているので、(1)とは別に樹形図を書いたり、点P、点Qを座標上に取ったりして時間を割いてしまった生徒が多いのではと思える。
特に(2)は一見、複雑な操作に見せているので、戸惑った受験生も多いことと思う。
そういう意味では、難問である。

大問3については、設問前の導入部での長方形になる前の針金の図が紛らわしいため、よくある針金を折り曲げて長方形を作る問題と何か違うのかと深慮し時間を取られた。
その件は置いておくとして、(1)、(2)は頻出問題であるが、受験生の多くは、(3)を非常に難しいと感じたのではないだろうか。文字aを用いた1次関数を作らせて導けばもう少し正答率も上がるだろうが、それにしても2次関数と1次関数を作り、その後、aの2次方程式、しかも2解の積がそこそこ大きい2次方程式が待っているので、この問題を後回しにしなかった受験生は、かなりの時間ロスであったと思われる。極めて得点率が低いと予想される難問である。

大問4は少し話を複雑にしてはあるものの、標準的な連立方程式を応用する文章題。

大問5の作図問題は、完成予想図の点Pの位置を三角形ABCの外部に取ってしまうと後が苦しい。
条件から点Pが<ABCの二等分線上にあることに気付けば先が見える。
作図問題はどの受験生も割と苦手にしていることが多いが、条件をどのように解釈するかを日頃から演習しておくべきである。
これも得点率は低いと思われる。

大問6の(2)は、直角三角形AGIにおける辺GIの長さを30度、60度の直角三角形の辺の比で準備できれば簡単に求まる。
(3)の立体の切断に伴う体積の問題は難易度が高いことが多く、この問題も同程度に難しい。
しかし、立体MN-IJKLをうまく三角錐と四角錐に分けれれば、ぐっと難易度が下がる。
とはいえ、やはり正答率が低い問題であろう。

大問7(2)は合同条件として「対応する一辺と2つの角がそれぞれ等しい」が許されれば時短で証明できるが、それを「一辺とその両端の角がそれぞれ等しい」に導かねばならないとすると、やや手間が掛かる。しかし、難易度は標準程度。
(3)は相似比と、三角形における角の二等分線の性質を使いこなす必要があるが、各辺の比を統合する際、多くの受験生は混乱を極めたであろうと思われる。類題を多くこなしていないと、短時間で解くのは難しい。
やはり、正答率が極めて低い問題だと思われる。

★総評
ひとつひとつの問題を、それぞれ十分に時間を掛けて解いてもよいということであれば、多くは標準的な問題か、やや難しい問題に分類されるだろう。
しかし、難易度と解答時間という尺度で考えれば、とてもではないが制限時間内で完答するのは厳しい。
多くの受験生、特に日頃から数学を得意とする受験生でも、解く問題の優先度を間違えれば、大問ひとつをまるまる落としてしまいそうな問題群ではなかったか。



塾長 児玉直人

コメント