【児玉】そのルールは本当に公平なのか

こんにちは、児玉です。

maru塾の夏期講習が始まりました。
猛暑日が続きそうですが、しっかり暑さ対策をしてこの夏を乗り切りましょう。

さて、1週間ほど前から話題になっている野球用語はというと、そう、「申告敬遠」ですね。
野球に興味がない方でも、フォアボール(四球)という打者に与えられる出塁権利はご存知だと思いますが、このフォアボールをわざと与えることを「敬遠」と言っています。
ただし、正式な野球ルール用語としては、「敬遠」という言葉はないそうです。
一般的に使われている言葉のようなので意外でしたが、考えてみればその通りで、わざとであれ偶然であれ、フォアボールはフォアボールなわけです。
ピッチャーがバッターを打ち取ろうとしたベストピッチングの結果のフォアボールもあれば、ヒットやホームランを打たれたくないがために、徹底的にストライクボールを投げないことでのフォアボールもあるわけです。
ただし、ボールにしようと投げた球がストライクゾーン付近に行ってしまい、結果、バッターに打たれてしまうことを恐れて、ストライクゾーンを大きく外れる球を投げ、フォアボールを与えることを一般的に「敬遠」とか「敬遠気味の四球」と呼んでいたのです。
ですので、敬遠は正式には「故意四球」と言います。

ところが、諸事情からこの「敬遠」を、投手が1球も投げずに与えることが認められだしました。
審判にその意志を伝えるだけでフォアボールとなる、いわゆる申告敬遠ですが、「申告故意四球」が正式な呼び方になります。
長いので、以下「申告敬遠」と表記することにします。

この申告敬遠ですが、もともとはソフトボールの国際ルールで定められたもので、2017年にMLB(メジャーリーグベースボール)で採用され、翌2018年には、日本のプロ野球、大学野球、社会人野球にも取り入れられました。
高校野球には、少し遅れて、2020年に導入されました。

さて、前置きが長くなりましたが、この申告敬遠が導入された理由は何でしょうか。

一般的には、試合時間の短縮のため、加えてピッチャーのスタミナ温存のためだと言われています。
申告敬遠は両チームに与えられている権利ですので、そういう意味では確かに公平には違いありません。

しかし、攻撃側と守備側という観点からみて公平なのかというと、なかなか難しい問題ではないかと思います。
敬遠は、アウトを取ることなしにバッターに1塁進塁を与えると同時に、そのバッターランナーに得点機会をも与えることになるので、この点ではピッチャー、つまり守備側にもリスクを負わせます。
また、敬遠しなければならないほどの強打者と勝負することを避けられたとしても、次のバッターを打ち取れるとも限りませんから、完全なリスク回避策ではありません。
それでも、バッターからすると、絶対に打つことが出来なくなる、ヒットを打つ機会を完全に剥奪されるという申告敬遠は、あまりに不公平と感じるのではないでしょうか。
投球を伴った故意四球なら、パスボールやワイルドピッチでランナーが進塁できることもあるでしょうし、1999年6月12日の巨人対阪神戦での新庄剛志選手の「敬遠サヨナラ打」もありますしね。

そして、特にここ1週間、日本の野球ファンは申告敬遠について忸怩たる思いを抱いている人が多いのではないでしょうか。
それはもちろん、大谷翔平選手が申告敬遠によって、チャンスで打たせてもらえないことが続いているからですね。

以下、全くの私見ですが、せめて次のルールを追加してもらえないものでしょうか。
・投球を伴う故意四球ではなく、申告故意四球の場合、もし出塁者がいれば、その出塁者も1つの安全進塁権が与えられる
・1試合において、同一の打者には申告故意四球は1度しか認められない
・1試合における申告故意四球は、各チームそれぞれ最大3度までしか行使できない

以上、とにかく大谷選手には是非、ア・リーグのホームラン記録62本を抜いてもらいたいということです。
少なくとも、機会を奪われることがあってはならない。
まあ、相手チームも勝つことに必死なんですがね…。

それでは、また。

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