赤と黒

こんにちは、児玉です。

日中との寒暖差が激しいものの、夜はめっきり寒くなってきましたね。
ついこの間までは、コーヒーも紅茶や緑茶も氷で冷やしてアイス何とかにして飲んでいたのに、先週からはほとんどがホット何とかになりました。

さて、ホット何とかを作るためにはお湯を沸かす必要があります。
家の湯沸かし保温ポットには、いつもお湯が満杯になっているのですが、何故か私はその都度ヤカンを火にかけて沸かすのが好きです。
ヤカンも何種類かを使い分けていますが、先週からは使い出したのは「鉄瓶」です。

もう何年も前に少し大きめの南部鉄瓶をリサイクルショップで見つけ、価格も納得のいくものだったので、即時購入しました。
入手はしましたが、かなり重いので、その鉄瓶で直接ドリッパーにお湯を注ぐのは無理があるため、ずっと放置状態でした。

そうして何年も経った先週、容量350mlという小さめのコーヒー用ドリップポットを手に入れたので、鉄瓶で沸かしたお湯をドリップポットに移し替えて、コーヒーを淹れられるようになりました。

そこで、鉄瓶の出番です。
何年も放置していた割には、それほど錆びてはいないのですが、お湯を沸かし、透明な計量カップなどに移し替えて光にかざしてみると、思った以上に赤く濁っています。
コーヒーの味にそれほど影響は無さそうな透明度ではあるのですが、やはり無色透明が良いです。

さあ、ここで赤と黒の登場です。
国語塾maru塾で「赤と黒」と来れば、文豪スタンダールの小説となりそうですが、違います。
そう、赤錆(赤錆)の赤と黒錆(くろさび)の黒です。
スタンダールの小説「赤と黒」は、赤=軍人の服の色、黒=聖職者の服の色が題名の由来であるとか、ルーレット盤の色である赤と黒で、主人公の人生をギャンブルに例えているとか言われているそうです。
しかし、著者スタンダール自身はそれに言及していないそうです。

話が逸れましたので、錆に戻します。

鉄はそのままでは不安定なため、酸素を取り込んで酸化物になろうとします。
そして、この鉄につく錆には、大きく分けて赤錆と黒錆があります。
赤錆は化学式$ Fe_{ 2 } O_{3} $で、名前のとおり錆自体が赤みがかっていて、鉄そのものを腐蝕させ、ボロボロにします。
鉄の錆といえば、大体はこの赤錆であり、鉄を朽ちさせていく原因となります。

一方、黒錆は化学式$ Fe_{ 3 } O_{ 4 } $で表され、一般的な鉄に対して自然に発生することはありません。
黒錆は鉄の表面にできる酸化膜で、表面に黒錆ができると赤錆の発生を抑えてくれます。
このため、その酸化膜で錆から鉄を守ろうと、意図的に表面に黒錆を作った鉄器がほとんどです。

さて、赤錆が発生した私の鉄瓶は、どうしたら良いのでしょうか。

はい、赤錆を黒錆に変えれば良いのです。

一体、どうやって?

赤錆を黒錆に変える錆転換剤などと呼ばれる薬品もあるようですが、調理道具ですから、それはちょっと……。

実は、良いものがあるのです。
それは、お茶です。
お茶に含まれる「タンニン」が、赤錆を黒錆に変えてくれるのです。
正確には、黒錆ではなく「タンニン鉄」というものに変えてくれるらしいです。

ということで鉄瓶で、たっぷりの緑茶パックをグツグツ煮出しました。
普通なら緑色になるお茶が、錆の出た鉄瓶では真っ黒なお湯になりました。
その黒いお湯を捨て、次に白湯を沸かしてみました。

これを三度繰り返したところ、赤いお湯はほとんど出なくなったので、私の鉄瓶は、コーヒーや紅茶のお湯はを沸かすメインのヤカンになりました。

ところで、赤錆から出る錆水を防ぐ方法のひとつに「湯垢」を作るというのもあります。
「水垢」とも呼ぶあの「白い膜」ですね。
水に含まれるミネラルが結晶化したものです。
私も湯垢コーティングのため、せっせと鉄瓶を使っています。
おかげで、1日で5杯くらいコーヒーを飲む休日となりました。

それでは、また。

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