
それは「受験国語の文章を速く読めるようになるため」です。
保護者の方からよく「国語が試験時間内で終わらない」「速読がいいのか、じっくり読むのがいいのか」というご相談を受けます。確かに国語の試験時間は短くて厳しいですよね?じっくり読んでよく考えて、と先生から言われても、「でもじっくり読んでたら時間が無くなっちゃって、最後の問題は適当に書いちゃった」なんてお子さんに言われたことありませんか?
普段からタイマーで測ってトレーニングしますか?でも、それだと「雑に読んで雑に解くだけになるだけになりそう」という不安もありますよね?とはいえ、丁寧に読んでしまうと次のテストもまた時間切れになりそうです。ところで、そもそも受験国語の文章を速く読めない理由は何でしょう?そこには、超えないといけない壁が2つあります。
まず、「国語あるある」をある程度覚えないといけません。
ここで「国語あるある」って一体何なのかを説明します。例えば、推理物のマンガ・アニメ・映画。真犯人は誰だ!?と考えながら楽しむのですが、以下の人たち、かなり高い確率で真犯人ではないですか?
・一見、完璧なアリバイの持ち主
・わりと序盤で登場するゲストキャラ
・被害者の恋人
・探偵の質問に「オレは忙しいんだ」「話が済んだならとっとと帰ってくれ」と追い返そうとする人
・「犯人を捕まえてくださいね」と懇願する被害者の知り合い
・「犯人はあなただ!」と言われ、「バカバカしい」「面白い推理ですね」「証拠はあるんですか?」などと平静を装う人
推理物あるある、ですね。他のジャンルなら、
・「先に行け、あとで必ず合流する」と言った人物は合流できない
・二手に分かれたら、その後必ず裏目に出てピンチに陥る
・「大丈夫、少し休めば元気になるから」と言って倒れた仲間はほぼ回復しない
・「俺、この戦いが終わったら彼女と結婚するんだ」といったセリフを言った人物は、最後まで生き残れない
・バトル漫画で、敵に必殺技を放ってから味方が「やったか!?」と言ったときは100%やっていない。「なかなかやるな、ではこちらも少し本気を出させてもらおうか」とか言って敵は起き上がってくる。
今あげた例は、漫画・アニメ・映画・ゲームに親しんでいる人なら「それ、あるあるー!」と思うはずです。そう、受験国語にも、このような「あるある」が多数存在するのです。

このように、「このテーマなら大体この流れになる」という「受験国語あるある」を知っておくと、文章をじっくり読まなくても、ささっと読むだけで文章全体の流れが大体分かるようになるのです。
では、「受験国語あるある」はどのようにすれば身に付くのか?
読書でも身に付きます。しかし、とても時間がかかります。100冊ほど読めば身に付くかもしれませんが、そもそも説明文の読書などを小中学生はほぼしません。そこで、色々な国語の文章問題を読んでみるのです。入試過去問・テキスト・模試など、問題を解かなくてもいいので、まずは文章を多く読むことです。中学受験や高校受験でよく出るテーマは、

「国語あるある」を制する者は受験国語を制す
というのは言い過ぎかもしれませんが、塾の国語講師がパッと国語の文章を読み流しただけで「どんな文章か」「ポイントはどこか」を把握できるのは、これまで多くの受験国語の文章を読んできたからなのです。物語分野説明文の話の展開を予想できるのです。
以上より、塾では必ず週に3題以上の文章問題を解きます。
最後に、この「受験国語あるある」を身に付けていないと大変なことになる例を説明します。
(例題)
棒線部「もうバカっ!孝弘くんのことなんて知らないから!!」と浩子さんのセリフが書いてあるが、なぜこのようなことを言ったのか、その理由を書きなさい。
(「受験国語あるある」の無い子の解答)
(例1)孝弘くんがバカだから。
(例2)孝弘くんのことを心からバカだと思っているから。
(例3)孝弘くんのバカさにあきれているから。
世の中の孝弘くん、ごめんなさい。でも本当は、答えは違いますよね?しかしこれは「受験国語あるある」の有無というより「男子あるある」の解答かもしれませんね。特に小学生男子は、恋愛関連のマンガとか読みませんから・・・

「よし、国語あるあるを受験国語の文章を読みまくれば、速く正確に読めるようになるぞー!」という思いは、ある程度は叶います。が、先にも書いた通り、速く読むことへの壁は2つあります。1つは国語あるあるを身に付けること。そしてもう1つはそもそも書かれている文章が難しくて頭に入ってこないという壁です。
「文章が難しいだと?国語って日本語でしょ?」そう疑問に思いますよね?ここでひとつ、小6の国語テキストから文章を以下に抜粋します。ちょっと読んでみてください。
(抜粋)
食う―食われる関係や競争関係などの生物間相互作用が、生物群集の種組成をきめるうえで大きな働きをしているということです。
まごうこと無き日本語です。が、普段の会話で友達に「やっぱりさー、食う食われる関係や競争関係などの生物間相互作用がさー、生物群集の種組成をきめるうえで大きな働きをしているんだよねー」なんて言いませんよね?しかし受験国語においては、このような文は普通に出てきます。
なので、こう考えましょう。日本語は、日本という国で話されている言葉です。中国語は、中国という国で話されている言葉です。英語は、英国(イギリス)で話されている言葉です。受験国語は、受験国という国で話されている言葉なのです。つまり、「受験国」語なのです。完全に屁理屈な理論に聞こえるでしょうけれど、それほどに受験国語と日本語は別物なのです。
ですから、受験国語は外国語と同じような勉強法をしないといけません。例えば英語の勉強なら、英単語を覚えておかないと読めませんよね?受験国語も、受験国の単語つまり語彙を覚えておかないと読めないのです。語彙が足りなくても、受験国語は確かに読めます。意味の分からない言葉の前後をしっかり読み、考えることで、言葉の意味は類推することができ、かつ読解力もアップします。しかし、読むスピードは圧倒的に落ちます。そしてこのページ最初に書いた通り、時間切れの憂き目を見ます。
と、ここで「そっくり語彙のチェックテスト」です。自分の言葉で説明できない語彙は、国語辞典で調べておきましょうね。

では、どのように受験国語の語彙を覚えればいいのか。やっぱり読書でしょうか?でも、10冊読んだ程度ではスラスラ読めるようにはなりません。100冊?200冊?いえ、1000冊くらい読まないといけません。一方で、説明文の本なんてほぼ読みませんよね?
とはいえ、あきらめませんよね?そこで一番効果的な方法が、テキストや模試ごとに語彙をチェックすることです。地味です、地道です、しかし一番効果が高い最強法です。魚の小骨だけを食べてカルシウムを吸収するのは大変ですよね?小骨の周りの身も一緒に食べれば、美味しく小骨を食べられる上に、カルシウムの吸収率も上がるそうです。語彙も、語彙だけで覚えるのではなく、その周辺の文章の中で覚えると吸収率が良くなるのです。maru塾の講師が読解テキストを使って語彙チェックをするのはそのためです。



2023年6月18日(日)、勤労者プラザにて。一般募集してから1日半で満席になった、いわゆる「伝説のセミナー」です。
国語の重要性などについては、このように外部会場を借りて保護者対象のセミナーなどで伝えています。以下、この日の保護者アンケートです。





