こんにちは、金沢市国語塾です。
数日前の2025年11月1日、ネットニュースで、「コスパが悪いから読書はさせないで」SNSの投稿に衝撃というタイトルの記事を読みました。
このmaru塾ブログでも、何度か読書と国語の点数との関係について触れているので、この記事を見過ごすわけにはいきません。
SNSに投稿されたという元記事を探してみたのですが、当該SNSの簡単な検索では出てきませんでした。
したがって、投稿者の真意をその投稿記事からくみ取ることは出来ず、もっぱらネットニュースの記事内容から探るしかないのですが、どうやら、
投稿者のお子さんが通っている中学受験塾の先生から「コスパが悪いから、読書はさせないでください」と言われた、という内容のようです。
ネットニュースのタイトルを見たときは、最初、親御さんが塾の先生に「コスパが悪いから、読書はさせないでください」と申し出たのかと思いましたが、どうやら逆のようですね。
ということは、親御さんは読書が国語の点数アップにつながると思っていて、お子さんに読書をさせようとしていた、あるいはさせていたのですね。
ただ、この点については、当ブログの
本を読むだけでは国語の点数がアップしない理由 や
読書は読解力アップにつながらない?読書の本当の意味とは
などを参考にしてもらいたいと思います。
その中学受験塾の先生が、当塾主張のように、本を読んだからといってすぐに成績が上がるわけではないという意味で、親御さんに提言しているのならば結構なのですが、コスパという言葉を持ち出していることから、どうやら、そういうことでもなさそうです。
そのネットニュースからの引用ですが、
確かに、中学受験は、時間もお金もかかる一大プロジェクトです。塾の先生が「コスパ・タイパ」という言葉を使うのは、限られた時間やお金を最大限に活用して志望校に合格させてあげたい!という思いがあるからでしょう。
という見解でした。
「読書」・「コスパ」・「タイパ」
そもそも、読書にコスパやらタイパという概念を持ち込むこと自体が、なんだかなあと思わせるのですが、百歩譲って、塾には費用が発生し、読書も時間を取るところから、コスパやらタイパという考えがあっても致し方ないかなとは思います。
ちょとは話はそれますが、コストパフォーマンス「費用対効果」の略であるコスパという、 支払ったお金に対してどれだけ価値や満足が得られるかを示す概念は、割と古くから使われてきた言葉でだと思います。
対して、タイパというタイムパフォーマンス「時間対効果」の略語は、最近使われ出したように思います。
かけた時間に対して、どれだけ効率よく成果や満足が得られるかということなのでしょうが、使い慣れない言葉ということもあってか、つくづく世知辛い世の中になったものだという気持ちが沸いてきます。
話を元に戻します。
では、読書はコスパやタイパが悪いのでしょうか。
それは目的や価値観によって大きくことなるのではないでしょうか。
効率だけで測ると読書は非効率に見えることもあるでしょうが、深い理解や感性の育成という面では非常に価値の高いものだと思います。
「読書はタイパ・コスパが悪い」とされる理由
・時間がかかる:1冊読むのに数時間かかるため、短時間で情報を得たい人には
「タイパが悪い」と感じられる。
・成果が見えにくい:読書による知識や思考力の向上は即効性がなく、試験や
仕事の成果に直結しづらい。
・要約や動画で代替可能とも:要約サイトや書籍紹介動画を使えば、短時間で
内容を把握できるという考え方が広まっている。
それでも読書がもたらす価値
・深い理解と思考力の育成:読書は著者の思考をたどることで、論理的思考や洞察力を
養うことができる。
・感性や想像力の刺激:物語に没入することで、情緒的な豊かさや創造力が育まれる。
・情報の質が高い:動画やSNSでは得られない、体系的で深い知識が得られる。
・人間関係や記憶力にも好影響:読書習慣がある人は、コミュニケーション能力や記憶
力が高い傾向があるという研究もある。
コスパ・タイパ思考の落とし穴
・「無駄な時間」にこそ価値がある
読書の寄り道や余白が、人生の豊かさを生むという考え方もあります
・情報収集だけが目的ではない
読書は単なるタスクではなく、自己成長や内面の充実につながるもの。
上のふたつは、中学受験生(あるいは受験生全体)からすると、ちょっと的外れにも思えるほど壮大な考え方に見えると思いますが、目の前の受験もこれから先の人生の一部なのですから、頭の片隅に置いておいても罰は当たらないのではないでしょうか。
まとめ
結局、受験において、読書はコスパ・タイパが悪いのでしょうか。
玉虫色の結論で申し訳ないのですが、
目先の国語の点数アップだけを目的とするなら、そういう考え方をする人がいても仕方がないという、やや諦めにも似た思いです。
国語読解の技術を身に付けることに時間を割くことは大事ですし、読書だけでは国語読解の力は付きません。
ただし、国語読解力を支える基礎力を養うためには、読書は欠かせない要素だと思います。


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