こんにちは、金沢市国語塾です。
前回の記事では、問題の中で「言葉・用語」を定義しているにもかかわらず、その定義を読んでいない、目には入っても頭に入っていない、定義内容が読み取れない、その定義を無視して自分の知識で問題を解くなどして、正解を導き出せない人が思いのほか多いという話をしました。
つまり、定義を読解できていないと。
では、そもそも「読解力」とは、どう定義されるのでしょうか。
「読解力」の狭義の定義
この国語塾のブログで単に「読解力」というのは、今から定義する狭義の定義を指すことが多いと思います。
読解力・・・・「物語や説明文を正確に読む力」
この国語ブログでは、ほんとんどこの文脈で使っていますね。
読解力って何? という質問をされた場合、多くの人がその対象を物語や説明文の文章を設定して考えることでしょう。
「読解力」の広義の定義
経済協力開発機構(OECD)が実施している世界規模の教育調査で、PISA(ピサ)というのがあります。
「Programme for International Student Assessment(国際学習到達度調査)」の略称です。
このPISAでは、読解力を以下のように定義しています。
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」
この定義は、単に文章を読むだけではなく、情報を活用し、批判的に考え、社会的文脈で意味づける力を含んでいると考えられます。
ところで、この広義の定義を理解するには、狭義の定義でいうところの「読解力」が無いと、何を言っているのかよく分からないですね。
前回記事の、定義が読めないと考えられないパターンの一例にもなっているのも面白いところです。
PISAでは、読解力を以下の3つのプロセスに分けて評価しています。
- 情報の取り出し
- テキストから必要な情報を正確に抽出する力
- 解釈
- 情報の意味を理解し、文脈や意図を読み取る力
- 熟考・評価
- テキストの内容を自分の知識や経験と照らし合わせて考え、価値判断をする力
- テキストの内容を自分の知識や経験と照らし合わせて考え、価値判断をする力
そして、次が大事なのですが、読解力の対象となるテキストについて、PISAでは、以下のような多様なテキストを対象に読解力を測定しているようです。
- 連続型テキスト:説明文、物語文、論説文など
- 非連続型テキスト:表、図、グラフ、地図など
- 形式・用途:解説、記述、書式、案内文、広告など
つまり、実生活で遭遇するさまざまな情報を読み解く力が問われているのです。
実際、国語の問題集でも、表やグラフから読み取れることについての問題が増えてきています。
石川県公立高校入試の課題作文も、表やグラフから読み取れることを題材として200字で作文を書かせていることが多いですよね。
読解力の目的と意義は次のとおりです。
- 実生活での活用:契約書、説明書、ニュース記事などを正しく理解する力
- 学習の基盤:他教科の理解にも不可欠な力
- 社会的リテラシー:情報社会での判断力・批判力の基礎
PISA型読解力(広義の読解力)は、「新しい学力観」を与える概念です。単なる暗記や知識ではなく、情報を活用し、意味を考え、社会に活かす力として、これから重要になってくると思われます。
まとめ
いかに「読解力」が重要かといういことは、十分お分かりいただけたと思います。
と同時に、この広義の読解力を手に入れるためには、狭義の読解力を身に付けることから始めないといけないことも理解いただけると思います。
先ず隗より始めよ
「真の読解力」は「国語の読解力」を養うことから始まります。


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