こんにちは。金沢市国語塾です。
前回に引き続き、統一テストの問題分析を行っていきます。
今回は大問2,3の読解・記述についてです。
公立入試と比べて、作文問題が出ない、他の問題数が増加する、という話は以前書きました。
今回はその中でも、読解や記述問題をメインに解説していきます。
出典
まずは、問題文の出典から。
直近3年分の第1回、第2回の出典は以下になります。
令和6年(昨年)度
第1回
論理的文章:「大人の友情」(河合隼雄)
文学的文章:「青の刀匠」(天沢夏月)ポプラ社刊より
第2回
論理的文章:「孤独 ひとりのときに、人は磨かれる」(榎本博明)
文学的文章:「アレグロ・ラガッツァ」(あさのあつこ)
令和5年度
第1回
論理的文章:「日本人が知っておきたい 森林の新常識」(田中淳夫)
文学的文章:「しあわせのこみち」(辻村深月)
第2回
論理的文章:「ヒトという不思議な生物」(長谷川眞理子)
文学的文章:「もどかしいほど静かなオルゴール店」(瀧羽麻子)
令和4年度
第1回
論理的文章:「上手な脳の使い方」(岩田誠)
文学的文章:「カナダ通り」(川上健一)
第2回
論理的文章:「私の茶道発見 日本の美の原点とは」(勅使河原宏)
文学的文章:「スモモモモモ」(長野まゆみ)
読解問題は主に
・論理的文章
・文学的文章
の2つで構成されています。
順番に傾向を見ていこうと思います。
論理的文章の傾向
まず、論理的文章においては、論説文が主となります。
令和5年度第2回の「ヒトという不思議な生物」(長谷川眞理子)のみ、説明文に近い内容でした。
が、ほぼ論説文が出題されるとみておけばいいです。
文章のジャンルについては、出典を見ての通り様々なテーマから出題されています。
この3年、全6回分だけ見ても、哲学、文化、自然科学など様々な分野から出題されています。
この3年間では出ていませんが、歴史、経済など社会科がテーマの文も出題されています。
入試もそうですが、このジャンルの文章が出やすい、というような傾向はないと考えてください。
ですので、苦手ジャンルを作らないことが大切です。
中学生にとっては、哲学や芸術の話はなかなかイメージできず、読解が難しいと感じる子が多いです。
また、理科や歴史が苦手、興味がないという子にとっては、そういったジャンルの文を読むのには苦労するはずです。
たくさんの問題を解き、様々な文章に慣れていき、極力、苦手なジャンルを作らないようにしましょう。
文学的文章の傾向
文学的文章では、小説文が主です。
令和4年度第2回の「スモモモモモ」(長野まゆみ)はかなり随筆寄りの文章でした。
が、小説以外が出ることはごくまれです。
先ほど述べた論説文と違い、小説はある傾向が見られます。
題材になっている小説は、近代の若者の視点で、描かれているものが中心です。
年が離れた大人の視点だったり、時代背景が江戸や明治だったり、ということはあまりありません。
中学3年生誰もが、場面や登場人物の気持ちをイメージしやすいように、ということで選ばれていると考えられます。
ですので、いろいろな小説を読んで、というような特別な対策は必要ありません。
問題を解く際に、場面の切れ目、登場人物の気持ち、情景描写などに気を付けながら読解することが大切です。
記述の傾向と対策
ここまでは、問題文本文の傾向を書いてきました。
ここからは記述問題の傾向です。
実は、統一テストの記述問題には明確に傾向があります。
それは、適文補充の問題が多いこと。
ここでいう適文補充の問題とは、設問中の文章の空欄に対して、適切な文を書く問題のことです。
「次の文の()に当てはまる言葉を20字以内で答えよ」などという形で問われる問題です。
文字数の違いはありますが、統一テストの記述問題は多くがこの形式です。
もちろん、適文補充以外の記述問題も出てはいます。
ですが、出題されるのは、論理的文章、文学的文章でそれぞれ0~1題ほどです。
なのでまずは、適文補充の問題に慣れておくことが必要不可欠です。
適文補充の問題、記述問題の中では比較的解きやすい問題です。
設問文そのものが、大きなヒントになっているからです。
基本的には、()の前後の言葉、文を問題本文中から探します。
本文中から見つけたら、その近くの文章をよく読んであげましょう。
十中八九、その読んだところに答えの箇所が書かれています。
あとは、その部分をまとめるだけです。
経験を積んで、解き方をしっかりマスターしておきましょう。
まとめ
・論説文は幅広いジャンルの文章に慣れておく
・小説文は場面、気持ち、情景描写に注意して読む
・記述は適文補充の形式をよく練習する
統一テストで高得点をとるには、読解、記述問題は避けて通れません。
しっかり練習を積んで、対策しておきましょう。


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